知らぬ間に取られてる?【個人情報と監視社会】

今日は、個人情報と監視社会についてお話していきます。最後にFacebookをやめてしまおうという提案もしています。

いつも突然すぎるぞ…

Facebook、便利じゃないか!

以前、SNSをやりすぎて承認欲求に苦しんでいる人向けに、こちらの記事を書きました。要は自分の承認欲求に振り回されているから、SNS疲れになっているんだという話でした。

今日は、さらに先に進んで、FacebookなどのSNSで取られている個人情報の問題と、その行き着く先の監視社会の恐ろしさについて解説していきたいと思います。

監視社会の危険性

いきなりですが、エドワード・スノーデンさんを知っていますか。

エドワード・ジョセフ・スノーデンは、アメリカ国家安全保障局 (NSA) および中央情報局 (CIA) の元局員である。アメリカ合衆国連邦政府による情報収集活動に関わった。2013年6月に、中華人民共和国香港特別行政区で複数の新聞社(ガーディアン、ワシントン・ポストおよびサウスチャイナ・モーニング・ポスト)の取材やインタビューを受け、それまで陰謀論やフィクションで語られてきたNSAによる国際的監視網(PRISM)の実在を告発したことで知られる。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

彼は、アメリカが行っていた諜報活動を、命の危険を顧みずに暴露した人です。当時、アメリカは、世界中の国で諜報活動を行なっており、それが日本やドイツという同盟国にまで、しかも国のトップの通信情報まで傍受していたということで、とても大きな問題となりました。

彼の主張は、端的に言えば、国家や巨大企業が行おうとしている監視社会はとても危険だということです。こちらに著者をつけておきます。

「データは死なない。ゆえに、私たちは、永久に残り続けるデータに悩まされる歴史上で最初の人々だ」と彼が言っていたのがとても印象的でした。

スノーデンが指摘する監視社会については、そもそもどういう社会なのか、なかなかイメージが湧きづらい人もいるかもしれません。

そこで監視社会の分かりやすい例として、こちらの記事に書いたアニメPSYCHO-PASSをご紹介します。このアニメでは、監視社会とそこで暮らす人々の姿が秀逸に描かれているので一度見てみることをオススメします。

PSYCHO-PASSの世界では、人の自由の範囲が極めて小さくなっています。すべての物事を巨大なコンピューターが判断しており、善悪の判断から就職先まで、人々はコンピューターに指示されて生きています。しかし、人々は何の疑問も持たず、そこには一見、完璧に統制が取れた世界が存在しているというものです。

でもそんな世界、気持ち悪くないか…?

そうですね。しかし、人間というのは、自由よりも安全を選ぶ生き物であるため、下手したらそんなディストピアな世界が現実のものとなってしまう可能性があるのです。

大量の個人情報を集めるプラットフォームが監視社会を可能にする

そして、その監視社会を可能にするものは何かといえば、それは世界中の個人情報のデータを集める仕組みということです。

そして、その仕組みは既に出来上がってしまっています。そうです、GAFAに代表されるアメリカのビックテックが提供するプラットフォームのことですね。

彼らは、ネットを使っている全世界の人々の個人情報を収集し、その巨大なプラットフォームに溜め込み、個々人の行動や趣味趣向を把握して、それを商売に使っています。広告などでも自分が興味をもっているものが出てきますが、あれはターゲティング広告といい、まさに私たちの個人情報が使われているということです。

趣味趣向レベルであれば、まだかわいいものですが、SNSの位置情報などからは、既に実際の行動経路も把握できるといいます。そして、スノーデンによると、何かあればその情報を国家に提供してしまう危険性がないとは言い切れないのです。

私たちは、普段からFacebookやGoogleを便利だから使っていますが、彼らは無料で私たちにそのシステムを提供する一方で、粛々と私たちの個人情報を集めているというわけです。

巨大プラットフォームを取り締まる制度はでてきている

監視社会を防ぐためには、GAFAなどが私たちの個人情報を勝手に収集できないようにする手立てが必要です。そこで、ヨーロッパでは、GDPRというものが導入され、EU市民のデータを守ろうという制度が施行されました。

EU一般データ保護規則(General Data Protection Regulation; GDPR)とは、欧州議会・欧州理事会および欧州委員会が欧州連合 (EU) 内の全ての個人のためにデータ保護を強化し統合することを意図している規則である。欧州連合域外への個人情報の輸出も対象としている。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

簡単にいえば、EU市民の持つIPアドレスやCookieのようなオンライン識別子については、彼らの個人情報とみなされることになり、企業がその個人情報を取得する場合には、本人の同意を得なければならなくなった、というわけです。

さすがEUだね!

こうした取り組みは、人のプライバシーを守る上でとても重要です。

一応、日本でも、日本版GDPRと呼ばれている「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案」が閣議決定されていますのでこれから期待したいですが、罰金が小さく役不足な感があります。EUのGDPRでは、売上の4%という巨額な罰金であるのに対して、日本版では一億円以下となります。

それでも、監視社会は確実に到来する

とはいえGDPRなどの規制については、結局のところ、自分が同意してしまえば、自分の個人情報が取られてしまうことには変わりませんから、どこまで効力あるものになっていくかは、注視していく必要があります。

もし、効力があまりなく、このまま技術の進化に応じたプライバシーの侵害が続けば、監視社会の進行は止められないでしょう。

そうなれば、現在はまだ、広告などの趣味趣向レベルの個人情報を把握されたに留まっていますが、そのうちに医療データや資産負債データという人に知られたくないデータ、いまいる場所などの安全に関わるデータ、支払いなどルールに対する遵守の度合いなどのデータというレベルまで取られていくことになるでしょう。

そうなってから、個人情報の重要性について気づいても遅いというものです。

私は、個々人の個人情報に対する意識の甘さを見るに、こうした監視社会の到来は、ほぼ確実なものと見ています。

私たちにできることは、個人情報保護に対するリテラシーを高めること

Photo by Isaiah Rustad on Unsplash

そんな未来が来るとしても、私たちは個人情報に対するリテラシーを高め、どういうリスクがあるのかを理解しておくことは大切です。

つまり、個人でもやれるところから、手を打っておくということですね。そうすることで、一人一人のリテラシーがあがって個人情報の保護の機運が高まることで、監視社会を防ぐ、または弱めることを目指すのです。

たとえば、Facebookはもう止めることをオススメします。Facebookは、利用者から収集した個人情報をケンブリッジアナリティカ社に提供し、それがアメリカ大統領選挙で利用されて問題となりました。ここからDeleteFacebook運動が起こり、イーロン・マスクやWhatsApp創業者のブライアン・アクトンらが個人情報の管理に大きな問題を抱えるFacebookを利用することはもう止めようと呼びかけたものです。

Facebookは、友人などの気軽にコミュニケーションできるツールとしてたしかに有用です。しかし、こちらの記事に書いたように、他人の近況を知ってもほぼ何の役にも立たない上、実名登録となっているので、Facebookで把握できる情報というのは、リアルな個人と結びつきやすいのです。

ただでさえ、Facebookで友達にリプライした内容を会社の上司が知っていて気持ち悪かったというようなことがあるのに、企業などに勝手に利用されていたとしたらとても嫌ではないでしょうか。

それに比べて、匿名でも使えるTwitterなどはまだマシですが、それでも電話番号を登録せずにメールアドレスも捨て用のものを使っておくことをおススメします。

そうすれば、リアルな個人を特定される可能性は低く、把握しようと思ってもIPアドレスまで追ったり、投稿内容から分析したりなど、かなりの手間がかかるようにできます。ただし、実名登録をしてしまってはFacebookと同じですので、気をつけてください。