書評「人生を面白くする本物の教養」

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この本はライフネット生命の創業者で元CEOである出口治明さんの本です。

彼は無類の読書家としても知られており、この本はそうした彼の知性の源泉が詰め込まれた本です。

リベラル・アーツだね!

とても面白いので、どんどん行きましょう!

教養とは何か

著者は、教養とは、知識と考える力だといいます。

知識は、物事に触れた時にそこから面白さを得るための道具であり、たとえばサーカーの知識がなければ、サッカーを観て楽しむこともできないといえば分かりやすいでしょう。

加えて、単なる知識を教養にまで進化するためには、さらに考える力が必要です。物事に触れたときに、自分の頭で考えることで腑に落ちる感覚を得られ、腑に落ちた時に面白いと感じることができるからです。

日本人には教養が足りない

日本人は、この教養が足りないために、本質的なことにまで踏み込んで考える癖がなく、表面的な部分に留まってる人が多いといいます。

それは、日本の教育に原因があります。日本は答えを教え込む詰め込み型の教育に傾倒している一方で、欧米ではゼロから考えさせる教育も重視されています。

問いに対する答えを暗記する教育だけでなく、常識を疑って課題を特定し自分なりに答えを導き出すという教育も欧米では行われているということです。

この教育の差が、日本人が本質的なところにまで一歩踏み込んで考える力が弱い原因だと著者はいいます。

過去の成功体験が考える力の足枷

この教育の差に加えて、日本人の過去の成功体験が拍車をかけているといいます。

ご存知のとおり、日本は戦後、とてつもないスピードで復興を遂げました。一部の人はこの事実にとても自信を持っていますが、著者によるとこれは最初から成功を約束されたものだったといいます。

なぜなら、日本には戦後、アメリカという目標をひたすらに真似をすればよいというキャッチアップモデルがあったからです。そこに、ブレトン・ウッズ協定に支えられたわけです。

このアメリカが過去に行ってきた成功する方法を丸コピし、より安い単価で売り出すという方法は、日本に暗記魔を増やす一方で、自分で考える癖をつけさせなかったのです。

グローバルでは無粋と思われている日本人

また、著者は、日本人の価値観が仕事や職場に偏りすぎていて、文学や芸術や歴史や宗教といった教養が無さすぎるといいます。

これによって、このグローバル社会では、日本人は海外から無粋だと思われることが多く、面白い人間だと思われていないといいます。

今後、よりグローバルになっていく流れは止められませんから、高度成長が失われ、いわゆる普通の国となった日本が、世界での立ち位置をうまく築き上げるためには、各国のリーダー層と渡り合わないといけません。そういう意味で、教養を身に付けることは必要不可欠なのです。

教養の身に付け方

著者は、教養は、本と人と旅から培っていけるとしています。本を読むことで過去の偉人から学ぶことができ、人と出会うことで違った考え方を学ぶことができ、旅をすることで感性を磨くことができるとしています。

また、正しく物事を考えるためには、「タテ」と呼ぶ時間軸(歴史)と「ヨコ」と呼ぶ空間軸(世界)のフレームワークから考えるとよいと提唱しています。

感想

出口治明氏は、世の中の普遍的な本質にこそ、人類の叡智が詰まっていると考えるNT型の方なのではと思います。

同じNT型の人間として、この本は、日本でマイノリティであるNT型の素晴らしい部分を他の型の人にも分かりやすく伝えてくれる素晴らしい本だと感じています。