正しい意見の伝え方【変革を進めるリーダーが、仲間を増やすための言葉づかい】

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皆さんは、何か問題があるときに、言わなければならないとは思うののの、本質を突いた厳しい意見であり、これを言ってしまうと周りに亀裂が走ってしまうということで、結局言えずじまいとなり、後になって問題が大きくなって困ってしまった経験をお持ちでしょうか。

こうした本質を突いた意見というのは、一般的な常識やルールを疑い、既存の枠組みを外から捉え、さらに良くしていこうとするものです。世の中をもっとよい場所にするためにはとても必要なものです。

しかし、多くの一般の人は、これまでのやり方を大きく変えたくないと思っています。

以前、こちらの記事にて、変革後のガス抜きの重要性を説明しましたが、今日は、変革する前の段階で、いかに本質を突いた厳しい意見を周囲に受け入れてもらえるようにするかという点を解説していきます。

本質を突いた意見は通常、普通の人には反社的に嫌悪感を持たれる

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まず、人というのは、自分が普段から考えていないことには目が留まりません。これは、こちらの記事でもお伝えしたとおり、脳というのは効率よく情報を処理するために、自分が必要としているもの以外は排除してしまうためです。

そして人は、自分が必要としているもの(つまり、普段から信じていること)と異なる意見に対しては、大なり小なり反射的に嫌悪感を持つということになります。これは、簡単にいえば自己防衛本能です。

本質を突いた厳しい意見というのは、一般的な常識やルールを見直そうというものが基本的なスタンスですから、大抵の普通の人からすると、普段から信じていることと真逆の意見を言われたということになるわけです。

だとすると、まず、この防衛本能を突破しないといけません。ではどうすればよいでしょうか。

本質を突いた意見は、その本質を隠して前向きな表現で伝えよう

本質を突いた厳しい意見を普通の人に伝えるときには、一番尖った部分はオブラートに包み、言い方を変えて前向きな表現で伝えましょう。

本質を突いた意見を発信したいと思う人は、大抵、無駄が嫌いなタイプです。それゆえ、前向きな表現での伝え方よりも、危機感を煽った直球でのコミュニケーションを好む性質があります。ここに落とし穴があるということです。

普通の人は、本質を突いた厳しい意見には反射的に嫌悪感を持ちますが、必ずしも現状に満足している人ばかりではないことも事実です。意見を発信している人と似たような問題意識を持っている人も多くいます。しかし、あまりに本質を突いた厳しい意見には、不安を覚えてしまうのです。

ですから、周囲の人に伝えるときには、最も本質を付いていて尖った部分(尖った意見を持っている人が一番言いたいこと)を直球で投げずに、焦らず、尖った部分は隠して、前向きで受け入れやすい形で伝える必要があるのです。

尖った部分はソフトにして、言い方を変えて前向きなフレーズを慎重に選ぶのです。この方法は、政治でもよく使われている手法です。決して汚いやり方ではなく、変革をしようと思ったら、率直すぎる直球では、物事は動いていかないというのが事実なのです。

言葉を変えるだけで伝わり方が大きく変わる例

それでは、率直すぎる直球の言葉は、どのように変えていけばいいのでしょうか。

簡単に言えば、同じことを伝えているのに、言い方が違うだけで、相手に与える影響が全く変わってくるようにするということです。

まずは、以下の動画を見てみてください。

同じ趣旨のことを書いているのに、その表現力の違いによって何とも思わなかったり、心を動かされたりするということがよく伝わってきます。

ユーチューブで360万回も再生された、Change your words. Change your world.

ストーリー:

1人の男性が道端に座っている。
すぐ横には、
"I'm blind. Please help!
「私は盲目です。おめぐみを」
と書かれた
段ボールの切れ端がある。

小銭を置いていくのは
ほんの数人だ。

1人の女性がやって来て
その紙切れを裏返し
何かメッセージを書き込んだ。

すると、多くの人が
小銭を置いて行くようになり
あっという間に大金が集まった。

その女性が戻って来た時
彼はこう尋ねた。
"What did you do to my sign?!
「どんな細工をされたのですか」

女性はこう答えた。
"I wrote the same and different words."
「同じことを書いただけです。ただし言葉を換えて」

そこには、こう書かれていた。
"It's a beautiful day and I can't see it."
「美しい青空ですが、見ることができません」

前向きな言葉を使ってリーダーは仲間を得て変革を進める

先ほどの動画はいかがでしたでしょうか。本当に一つの工夫が変えてしまうのですね。

人は”感情”の生き物です。そして”感情”は、人のあらゆることを支配しており、世界の平和や発展はこの”感情”に支えられている、または振り回されているのです。

いかに”感情”に訴える言葉を作れるか、これはリーダーには必要な技術の1つでしょう。

世の中において、本質を付いた厳しい意見を成就させる、つまり世の中の常識やルールを変えていくためには、それを魅力に感じてくれる仲間を増やしていく必要があります。

リーダーは、多くの普通の人たちを巻き込んでいかなければならないのです。仲間が拡大していけば、一般的な常識を覆すに値するだけの力も得られるようになります。

本質を付いた厳しい意見を持っている人というのは、変革を担えるリーダーであり、今の時代にとって最も重要な存在です。そうしたリーダーたちが、世の中から正当に評価されるためには、この「伝える技術」が必要なのです。