【書評】論語【孔子に学ぶ哲学。仁(人間愛)と礼(規範)に基づいた社会の統治】

「天子から庶民にいたるまで、人の第一の目的とすべきは生活を正すことにある」

これは、儒教の始祖である孔子の言葉であり、孔子が生涯を通して教えたかった「礼」を最も分かりやすく表現した言葉です。

そもそも孔子って誰?

この言葉の何がすごいの?

孔子は、大昔の中国で、儒教の教えの基礎を作った人で、時の権力者からは重宝されませんでしたが、3000人も弟子を持っていた偉大な人物です。

儒教は、現代にいたるまでその教えは受け継がれており、日本でも徳川家康や渋沢栄一という偉大な人物たちが孔子の教えを学んでいます。

そのような過去の哲人について、今日は分かりやすく紹介していきたいと思います。

孔子とはどんな人か?

孔子は、春秋時代の中国の思想家、哲学者。儒家の始祖。ヨーロッパではラテン語化された"Confucius"の名で知られている。釈迦、キリスト、マホメットと並び四聖人に数えられる。その死後約四百年かけて弟子達が編纂したのが『論語』である。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

孔子は、紀元前552年生まれで、日本はまだ弥生時代だった頃の人です。かなり昔の人です。

孔子は、釈迦、キリスト、マホメットに並んで世界の四聖人といわれており、その教えというのは『仁(人間愛)と礼(規範)』に集約されています。

何それー、よくわからんよ。

孔子の教えというのは、簡単にいえば、人徳を持って規律を守ることで社会を統治していこうというものでした。

春秋時代という戦国の世にあって、孔子は人徳で国を治めることを理想としていたのです。そして、実際にその思想を政治において活かすため、多くの弟子を持つとともに幾人かの時の権力者にも仕えていました。

しかし、孔子には理想主義的なところがあったため、社会の統治にルールや合理性を求めませんでした。それゆえ、残念ながら、孔子は生きている間、戦国の世の権力者からはあまり重用されなかったのです。

孔子が脚光を浴びるようになったのは、孔子の死後、中国が漢の時代になってからです。

孔子には3000人あまりの弟子がおり、後世には孟子や三国志の荀彧の先祖である荀子といった思想家も排出しています。そして、その教えは儒教としてアジアにとても広まりました。

孔子は、その死後に中国のみならず世界の歴史にとても強い影響を与えた人でした。

孔子の教えである礼

あらためて、孔子の教えが何かといえば、その中核は「仁」と「礼」だといえます。

「仁」というのは、人間愛であり、感情的なものを指します。そして「礼」というのは、その「仁」を態度で示すものとなります。

「礼」というのは、簡単にいえば規範となりますが、ここでは法律やルールといった類のものではなく、どちらかといえば人としての模範的な生き方を指します。

いまいち抽象的でわかりづらいんだよなー。ぼやーっとしてて。

それを分かりやすく表現したのが冒頭の言葉ですね。

「天子から庶民にいたるまで、人の第一の目的とすべきは生活を正すことにある」

人というのは、正しい生活の仕方は知っているはずなのに、怠惰や欲によってそれを実践できていない。そのため、正しい社会を作るには、王様も庶民もまずは生活を正すことから始める必要がある。生活を正すことによって、人は「仁」という人間愛を体現できるようになるという教えです。

孔子の教えは「論語」で学べる

孔子の弟子たちがまとめた「論語」は、とても勉強になるし、辛い時には勇気づけられる上、疲れた心を癒してくれる本なので、とてもオススメです。

「論語」は、孔子が執筆したわけではなく、孔子の弟子たちが常々師匠が語っていたことを編集してまとめ上げたものです。

それゆえか、「仁」や「礼」というものが何なのか、バシッと一言で語られたりはしていません。人々とのコミュニケーションの中で、孔子が色々な形で「仁」や「礼」が何たるかを説明している内容になっています。

その少し抽象的なところが、読者による解釈の幅を広げるので、これだけ多くの人に親しまれている所以なのではないかと思います。

孔子の教えはリーダー論である

孔子の教えは、人徳を持って規律を守ることで社会を統治していこうというものでした。

つまり、端的に言えば「社会の統治」の在り方になりますので、孔子の教えが響きやすいのは、当たり前ですが「一般庶民」というよりは「リーダー」たちになります。特に、大きな組織を率いていくリーダーで、どうすればもっとよくリーダーシップを発揮できるだろうと迷っている人たちにはとても響く教えなのです。

また、孔子の教えは、礼に基づく身分制度を認めるものであり、その後、儒教全体をまとめ上げた朱子学によって、時の権力者たちが社会を統治する方法としても使われていきました。そうしたこともあり、孔子の教えである儒教というものは、国や組織を治めるリーダーたちにとって、バイブルのようなものになっていったのです。

あなたもリーダーを目指す人であれば、是非、論語に触れてみてください!

最後に、同じ中国の諸子百家として名高い老子についてもこちらの記事で取り上げていますので、参考にしてみてください。