【書評】サードドア The Third Door 精神的資産のふやし方【成功者だけが知っている秘密】

今日、紹介する本は、全米でベストセラーになった「The Third Door」です。

この本は、読者の皆さんの人生を変える力があると強く信じていますので、しっかりと書評を行いたいと思います。

簡単に内容を説明すると、著者であるアレックス・バナヤンという若干19歳の学生が、ビル・ゲイツやレディー・ガガといった一流の成功者から、成功の秘訣をインタビューするというものです。

巷には、成功者の伝記本は数多くありますが、どれを読んでも、書いてある内容だけで成功できたようにはどうしても思えないものばかりです。

とりわけ、成功者には、成功に至るための足掛かりとなったターニングポイントが必ずあります。そのターニングポイントでなぜ上手くチャンスを勝ち取ることができたのかは、あまり細かく書かれていないのです。

まさにこちらの記事で書いたとおり、能力だけでなく勝ち筋の機会を得たということですね。

この本は、そこに焦点を当てています。

「ビル・ゲイツがIBMに初めてソフトウェアを売り込んだとき」「スピルバーグがハリウッドに入りこむことができたとき」「ラリー・キングがジョービジネスに入ることができたとき」等、成功者がまだ何者でもなかったときに、どうして成功への足掛かりを掴んだのかを明らかにしていきます。

もちろん、インタビューを行った当時のアレックスは何者でもありませんので、こうした成功者に簡単にインタビューが行えたわけではありません。特に最初は、成功者たちにインタビューを依頼するメールを何度も送っては、返事さえもらえない状況が続きます。

しかし、それでも100分の1の確率くらいで数人からは返事をもらい、たまたま一人の成功者には気に入ってもらい、そこから、少しずつインタビューの意義やコツを掴みながら、うまくメンターを作り、そして何より粘り強く、次第に人脈を増やしながら、最終的にはビル・ゲイツにインタビューを行い、レディー・ガガに感謝されるまでになります。

そう、成功者からサードドアを聞き出すだけでなく、この本には、著者であるアレックス自らが、サードドアをこじ開けていく姿が描かれているのです。

サードドアとは何か

サードドアとは、以下を指しています。

人生、ビジネス、成功。
どれもナイトクラブみたいなものだ。
常に3つの入り口が用意されている。

ファーストドア:正面入り口だ。長い行列が弧を描いて続き、入れるかどうか気をもみながら、99%の人がそこに並ぶ。

セカンドドア:VIP専用入り口だ。億万長者、セレブ、名家に生まれた人だけが利用できる。

それから、いつだってそこにあるのに、誰も教えてくれないドアがある。サードドアだ。行列から飛び出し、裏道を駆け抜け、何百回もノックして窓を乗り越え、キッチンをこっそり通り抜けたその先に、必ずある。

ビル・ゲイツが初めてソフトウェアを販売できたのも、スティーブン・スピルバーグがハリウッドで史上最年少の監督になれたのも、みんなサードドアをこじ開けたからなんだ。

サードドア 精神的資産のふやし方  by アレックス・バナヤン

簡単にまとめてしまえば、サードドアとは、諦めずに粘り強く、少しずつインサイドマン(近づきたい対象の中にいる人のこと)を見つけて協力を仰ぎ、あらゆる手段を考え抜いて行動することです。

「諦めずに粘り強く」と簡単に言いましたが、成功者に30人声をかけて一人からも返事がもらえなかったら諦めるとか、そういうレベルではありません。数百人にトライをするし、1人に対して何度でもトライをするということです。

もちろん、相手が不快になるレベルまでトライすることを肯定するものではありません(実際、アレックスは何度もトライをしてウォーレン・バフェットから出禁をくらっています)。多少の強引さは熱意でカバーするということです。

そして、成功者の身近な存在で、その熱意に心を打たれてくれる人が必ず現れます。それが「インサイドマン」です。インサイドマンを見つけて、その人にあわよくばメンターになってもらい、成功への後押しをしてもらうということです。誰でも熱意を持った人を助けたいという気持ちに頼るのです。

当然、何度トライしていても結果はでないことがあります。アレックスも「No」の返事ばかりで心が折れかけて、諦めかけたことが何度もありました。

そのとき、成功者の一人であるエリオット・ビズノーやディーン・ケーメンから「ダメならアプローチを変えること」「アプローチの効率性を常に考えること」の大切さを教わります。

アレックスは、インタビューの依頼をずっと断ってくるビル・ゲイツの首席秘書から自分自身が「個」として認識されていないことに気づきます。そして、人脈をつたい、首席秘書に対面で会って頼み込み、ようやくビル・ゲイツのインタビューに辿り着きます。

なぜ私たちはこのサードドアを見つけられないのか

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なぜ、私たちはこのサードドアを見つけることができないのでしょうか。

おそらく、見つけられないのではありません。きっと、誰しもにこのサードドアは見えているはずなのです。しっかりと認識できているかはともかく、頭の中で可能性の一つとして見えているはずなのです。

しかし、それでもサードドアを選択することができないのは「孤独・無駄・恥といった恐怖」が勝ってしまうからなのです。

クインシー・ジョーンズは、アレックスにこう語りかけます。

何度ノックダウンされても立ち上がるんだ。敗北して去っていく人もいる。用心深く臆病になる人もいる。情熱よりも不安が勝ってしまう人もいる。でもそれは間違いだ。

一見複雑なようで、実は割とシンプルなんだ。つまり、リラックスして神に委ねることさ。

自分の得意分野で成長していくときに味わう気分は最高だよ。成長は失敗から生まれる。失敗を大事にすれば、そこから学べる。失敗は最高の贈り物なんだ。

この本を読めば、ビル・ゲイツがIBMと契約できたとき、エリオット・ビズノーがサミットにクリントンを呼べたとき、サードドアをくぐっていることが分かります。

ただし、サードドアとは何かという問いに対して、冒頭の引用文以外のことは、この本には端的に書かれているわけではありません。

サードドアは、その要素が多くあるため、一言で言い表すことが難しいからだと思います。

しかし、ここは書評なので、私なりの解釈をお伝えします。それは、

「誰もが一瞬思いついたとしても、孤独や無駄や恥といった恐怖を感じてしまい、決して選択したがらない道の先にあり、時にはアプローチを改良しながら、何よりも粘り強くやったその先にあるものがサードドア」

だと思います。

これからの人生、皆さんも一緒にサードドアを見つけて行きましょう!!