大企業病に陥りつつあるコンサルファーム

今日は、総合系コンサルファームが巨大化し、大企業病になっているのではないかという記事です。

え?大企業病って何?良くないことなの?

これから説明していきますが、良い事ではないかもしれません。

大企業病とは何か

大企業病というのは、会社が大きくなりすぎることで、合理性を欠いていくことを言います。具体的には、以下のような特徴があります。

  1. ポリティクス(社内政治)
  2. セクショナリズム(縦割り組織)
  3. ステータスクオー(現状維持)
  4. トップヘビーマネジメント(分厚い管理)

中小企業基本法では、300人を超える企業の場合は大企業として定義されていますが、通常、1000人を超える規模の企業では、大なり小なり大企業病が現れてきます。

まず①の社内政治というのは、組織が大きくなると派閥争いのようなものが生じるため、上に行けば行くほど、顧客の顔を見ずに社内の上司の顔色を伺い、社内での足の引っ張り合いを始めます。

続いて②の縦割り組織というのは、企業が大きくなると仕方ない面もあるのですが、部門ごとに役割が明確化していくため、組織ごとに権限を委譲することで部分最適な判断になってしまうということです。

③の現状維持というのは、企業が大きくなると既得権益が出てきますので、皆が自分のそれを守ろうとして、変わることを恐れ、現状維持に努めてしまうということです。忖度というのは概ね既得権益者に対して現状維持に配慮することです。

④の分厚い管理というのは、管理者層が増えて管理のための管理が生まれ、意思決定が遅くなり、無駄な管理コストが増えて一人あたりの付加価値が減っていくということです。

コンサルファームは大企業病なのか

十数年までは1000人未満であった総合系コンサルファームですが、現在では数千人の規模となっているファームはいくつかあります。

すでに1000人規模を超えている時点で、いかにコンサルティングファームといえども、大なり小なりに大企業病の弊害が生じているといえるでしょう。

戦略コンサルファームは、いまだに少数精鋭を貫いていますが、今後のデジタル時代は実行支援系の案件が増えてくるため、戦略コンサルファームも増加傾向を見せていく可能性は高いといえます。

コンサルファームの具体的な大企業病

社内政治と縦割り組織という弊害は、特に総合系コンサルファームにおいて出ています。

ほとんどのコンサルファームでは、シニアパートナー(パートナーの中のリーダー)がいて、その下にパートナー(またはマネージングディレクター)が存在し、さらにその下に多数のスタッフがぶら下がるという組織構成を取っています。

それゆえ、今よりも良いポジションに付けるかは、個人の能力もさることながら、上の人からそういう機会を与えられるかということが重要な要素になっています。詳しくはこちらの記事に書いています。

そのため、仲間内での競争として、上に気に入られること、ライバルを蹴落とすことが一定のインセンティブになるわけです。これは、クライアントの課題に向き合うというコンサルタントの本分を見失いかねないものです。

また、パートナー間で人材を供給しあってクライアントの課題を解決すべきときも多々ありますが、パートナー間のリレーションによっては円滑にいかないことがありますので、縦割りの弊害が出るケースがあります。

現状維持と分厚い管理というのは、通常の大企業ほどは存在しません。クライアントのチェンジを支援するコンサルタントというだけあって変化には柔軟であり、アップオアアウトの文化が残っているため中間管理職もそれなりに働いています。

コンサルタントの心構え

1000人を超えるコンサルファームでは、大なり小なり大企業病として、社内政治や縦割り組織というものが生じやすいと説明しました。

だからといってクライアントの課題を解決するというコンサルタントの本分を失ってはいけません。

いま自分が何をすべきかは、状況によって変わりますので、自分で考えて行動することが大切だと思います。