AIが産業にもたらす変化と影響とは【2020年版】

今や聞かない日はないAI(artificial intelligence)という言葉。

もはやバズワードになってきていますが、AIは、今後の第四次産業革命の中核であることは間違いありません。

富士キメラ総研の調査によると、AIビジネスの国内市場(AIを活用したサービス、SI、プロダクト、クラウド)は、2015年時点では1500億円であったのに対し、2020年には1兆円、2兆1200億円になると予想されています。

ちょうど2015年には、DeepMind社が開発した「アルファ碁(ディープラーニングという技術を活用したAI)」が囲碁の名人に勝利を収め、マスコミにも大きく取り上げられときですね。

耳タコできるくらい、AIはすごいって話を聞くよね・・・

第二次産業革命のときには、機械がブルーワーカーの仕事を奪いました。そして第四次産業革命となるAIは、ホワイトカラーの仕事を奪うといわれています。

企業におけるAIの導入状況としては、2018年の矢野経済研究所の調査結果によると、日本企業の515社にアンケートを行った結果、日本企業全体で2.9%(最も導入が進んでいるのは金融業)、PoCまでであれば8.7%となっており、これから本格化する感じです。

今日は、そんなAIが、私たちの生活をどのように変えていくのだろうかということを深堀していきましょう。

AIが私たちの生活に与えようとしている具体例を知り、AIについて語れるようになります

AIが業界別に与えようとしている影響

まず、ざっとAIがどのようなことを期待されているのか、業界別に見ていきましょう。

  • 医療・介護:遠隔診療、自動健康診断、介護ロボ
  • 金融:自動審査(人がやらざるを得なかった与信の総合的な判断レベル)
  • 自動車・運輸・物流:自動運転、配送計画、MaaS
  • 製造:産業用ロボ(人でしかできなかった組み立てのレベル)
  • 小売、広告:販促(個人の嗜好性を把握したおススメ)、ピッキング(片づけや陳列)
  • エンタメ:自動コンテンツ生成(映画や音楽の自動化)、ペットロボ(機械学習によって人の嗜好性まで把握したレベル)
  • 農業:自動収穫(熟した実だけを選んで収穫できるレベル)
  • 飲食業界:調理ロボ(一流コックの味を実現するレベル)
  • 国家:軍事、防犯(犯罪者の未然認識レベル)
  • バックオフィス系:スマート人事(採用や人事評価をAIが自動化)

医療・介護系AI

医療系AIについては、スタートアップのUbie(ユビー)社が開発するAI問診が有名です。AIによって疑わしい病名をリスト化したり、患者が書いた内容を医師語に変換したりという機能を有しています。

AIの画像認識能力により、がんの検知でも実用化され始めています。たとえば、国立がん研究センターではAIによるがん検知の実験に成功していたり、GoogleのDeepMind社が乳がんの診断結果を向上させるAIを開発したと発表するなど、これから実用化に大いに期待されています。

また、介護の現場では、エクサウィザーズが神奈川県と連携して要介護度の予測AIを開発しています。

面白いところでは、イギリスのスタートアップと住友大日本製薬が連携して、AIによる薬の製造に成功し、世界で初めて使われたというニュースもありました。

2021年には、これまで薬剤師が行ってきた仕事がAIによって一部代替が始まるともいわれています。また、医療分野では3Dプリントが活躍しており、2024年には臓器移植に使われる予定というニュースも入っています。

金融系AI

金融系AIでは、融資審査で活用されている事例があります。たとえば、日立のAT/PRCでは、日本の金融機関の住宅ローン審査で活用されており、2020年2月にはベトナムの金融機関でタブレット端末からローン契約を自動で完結するサービスを提供し始めました。

その他では、ゴールドマンサックスでは、2000年に600名いたトレーダーがAIに取って替わられて今では2名しか残っていないというのは有名な話です。その代わり、AIをメンテナンスするITエンジニアを雇用しているようです。

その他、ロボアドバイザーや株価予測などでAIが多数活用されています。

自動車・運輸・物流系AI

ここは何といっても自動運転です。トヨタなどの自動車メーカーのみならず、Googleなどのテック企業も多大な投資をしています。そして2020年から2021年の間には、高速道路であればレベル3(特定の場所ですべての操作が自動化、緊急時はドライバーが操作)が実用化できるところまで来ていると言われています。

また、MaaSの代表格であるUberやジャパンタクシーなどでは、AIを使って乗車予測や到着時刻予測などを行い、タクシーの最適配置を行っています。なお、Uberなどが進めるシェアリングエコノミーは、今後もさらに加速するといわれており、2026年には個人所有よりもシェアリングの利用率の方が上回るのではという予想も出ています。(世界経済フォーラムのサーベイより)

あとは、AIではありませんが、遠隔地への配送などでドローンの活用もこの業界では大きく期待されています。(都市部では航空法の制約もあって活用が難しいところ)

製造系AI

ここは何とっても産業ロボでしょう。ファナックは2019年4月にPreferred Networks(以下PFN)社と共同でAIサーボモニタを開発し、工作機械が故障する前にその前兆をAIで読み取るといった活用を行っています。

その他では、ブリヂストンがAIでタイヤの製造を実用化していたり、サントリーではこれまで人が実施していた生産計画をAIで自動化する技術を開発するなどしています。

AIを活用したソフトウェアの世界では、日本は完全にアメリカや中国に負けてしまいましたが(Chainerも開発終了)、もともとの強みであるハードウェア、つまりはAIを使ったロボの分野では、勝機があると思いますので、製造系AIについては引き続き応援していきたいと思っています。

 

このように、多くの産業でAIが実用化または実用化に向けた開発が進んでいますが、現時点では、上記のうち、小売と広告くらいにしかAIが完全に実用化するに至っていません。

産業によってデータの集めやすさであったり、AIに求められる精度が異なるからに他なりませんが、小売と広告は世界のGDPの6%しか占めていませんから、今後の活用余地の大きさが分かるでしょう。

なんだかすごすぎて圧倒されちゃうわ~

第四次産業革命の柱であるAI

AIはこれまでの産業の在り方を大きく変えるものということは、理解できました。

そして、この変革は、第四次産業革命だと言われています。

第四次産業革命はデジタル革命に基づいており、技術が社会内や人体内部にすら埋め込まれるようになる新たな道を表している。第四次産業革命はロボット工学、人工知能 (AI) 、ブロックチェーン、ナノテクノロジー、量子コンピュータ、生物工学、モノのインターネット (IoT) 、3Dプリンター、自動運転車などの多岐に渡る分野においての新興の技術革新を特徴とする。「第四次産業革命」というフレーズは2016年の世界経済フォーラムにおいて初めて使用された。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ちょっと分かりづらいと思いますので、補足すると、第四次産業革命というのは、モノのインターネット(IoT)、人口知能(AI)、ブロックチェーンが技術の柱となっています。

第四次産業革命の要点
  • モノのインターネット(IoT) によって、これまでインターネットに繋がっていなかったあらゆる物体にインターネットが接続し、相互に情報をやり取りできるようになる
  • 集められたデータは、AIによって最適解が出される。たとえば、工場の重機械同士が自動で連携して、これまで人しかできなかった機械をまたがった最適処理ができるようになり、人が間に介在せず、人よりも精度の高い仕事が圧倒的なスピードで行えるようになる
  • そしてブロックチェーンが、IoTとAIが生み出した富を再分配する。中央集権的で資本家のみに富が集まる資本主義の在り方を変えていく

AIの分類

ここで話を終わろうかと思いましたが、最後に蛇足としてAIの分類をご説明します。

  • ルールベース:人が書いたロジックをもとに判断する技術。RPAもこれにあたる。一般的にAIというときは、このルールベースは除外する。
  • 機械学習:データなどから自らロジックを作り出して判断する技術。ただし、判断するときには何に注目すべきかは人が指定する。
  • ディープラーニング:機械学習の一部に含まれる技術。人間の脳を模倣した仕組み。普通の機械学習との違いは、与えられたデータに対して何に着目すべきかを機械が自動で判別する点。

現在、注目を浴びているのは上記のうち、ディープラーニングです。

機械学習では、たとえばリンゴとトマトの違いを見分ける際には「ヘタの部分の構造に着目する」「形がより楕円に近ければトマトである」といった判断基準を人間が指定する必要がありました。

しかし、ディープラーニングでは、これらの判断基準を与える必要はなく、ただデータを食べさせることで、勝手に判断基準を作り出すことができるのです。

ディープラーニングは、2006年に発明された比較的新しい技術です。2010年以降では、ビッグデータ収集環境の整備が整い、計算資源となるGPUの高性能化によって、2012年にディープラーニングが画像処理コンテストで他の手法に圧倒的大差を付けて優勝したことで、本格的に注目されました。自動運転など、上記の業界別への影響についても、このディープラーニングにかかっています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

AIの実用化例については、定期的にアップデートしていきたいと思います。

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