最近、企業においてもダイバーシティをテーマとして掲げているところも多いです。
一般的に企業で語られるダイバーシティは、多様性を競争優位の源泉として考える概念です。
今日は、そんなダイバーシティの本質に迫っていきたいと思います。
企業にとってダイバーシティは、競争の源泉である
企業におけるダイバーシティの取り組みは、人種の坩堝であるアメリカから始まりました。
ダイバーシティによって公平性をもたらすのみならず、性別、人種、国籍、宗教、年齢、経歴などの多様性を企業の経営に活かすことで、企業の競争力に繋げることを狙ったものです。
企業の中に多様性があれば、様々な人材を活用し、様々な考え方を取り入れることが可能になります。
有能な人材の発掘、斬新なアイデアの発見、多様なニーズへの対応ということが可能になるという考え方です。
ダイバーシティとは、女性やマイノリティに対応することだけではなく、考え方の違いを受け入れるということ
ダイバーシティを議論すると、女性やマイノリティの積極的な採用、差別のない処遇を実現するための活動に目が行きます。
もちろん、女性やマイノリティへの差別は絶対にあってはなりませんが、ダイバーシティの本質である「多様性を認める」ということにおいては、女性やマイノリティへの対応だけでは十分とは言えません。
なぜなら、人々の「考え方の違い」を受け入れることが究極的なダイバーシティだからです。
「考え方の違い」というのは、たとえばここに二人いて、同じ日本人男性であったとしても、生き方や考え方、大切にする価値観や信頼する情報などは、全く異なるということです。同じ国籍で同じ性別でも、人の数だけ考え方の違いがあるということです。
考え方の違いに気づかずに、お互いの考え方を認めることがなければ、社会はとんでもなく間違った方向にいくということです。
たとえば、独裁的なトップが現れて、すべて自分の考え方で組織を支配し、その他の人の考え方を認めなければ、組織の競争力がなくなるだけでなく、組織が不公平になり、独裁的なトップと同じ性別・人種・国籍であったとしても、考え方の違いから理不尽な扱いを受ける人々が出てきてしまうということです。
つまり、本当のダイバーシティとは、人々の考え方の違いにまずは気づき、そしてそれを認め合うということなのです。
まずは、お互いの考え方の違いに気づくこと
人々の考え方の違いとは何なのでしょうか。
色々ありますが、まずはMBTIを例に挙げると分かりやすいでしょう。
MBTIによれば、人の数だけ存在する考え方の違いを16パターンの理解しやすい特性に整理することができます。MBTIについてはこちらの記事をご覧ください。
MBTIを学べば、同じ人間であっても、これほどまでに考え方の違いが実は存在しているのかということに驚くと思います。
人間には確証バイアスというものが存在しています。確証バイアスとは、自分の見たいと思っている情報だけが見えてしまい、見たくないと思っている情報は無意識に遠ざけてしまうという人の性質のことであり、簡単に言えば思い込みのことです。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
誰しもがこの確証バイアスを持っているがために、どうしたって自分の考え方は常識的だと感じてしまいますし、一般的だと思ってしまうものなのです。こうした考えを正してくれるのがMBTIです。
ただし、言うは易く行うは難しのとおり「考え方の違い」に気づくところまでは誰でもできますが、受け入れるという行為は非常に難易度が高いということです。
この点について、アニメである『PSYCHO-PASS』のシビュラシステムが言っていた多様性に対する考え方がとても良いヒントになります。
構成因子となる個体の思考性は、偏った特異なものほど、我々の認識に新たな着想と価値観をもたらし、思考をより柔軟で多角的なものへと発展させます。
『PSYCHO-PASS』については、こちらの記事に詳しく書いています。
多様性のない世の中は、もろく、弱いものです。今よりも良い世界を求めるなら、ダイバーシティはかかせない概念です。自分の考え方だけが正しいと思っている人には、自分と違う考え方があるのだということを理解してほしいと思っています。