思い込みは諸悪の根源【確証バイアスの罠】脳にとって楽な思い込みは争いのタネを生む。多様性と事実を学ぼう

人であれば誰もが持っている思い込み。

しかし、その思い込みは、もしかしたら私たちを間違った方向に導いているかもしれません。

今日は、思い込みがいかに怖いものであるか、それに対抗するために疑う力を身につけるための方法をお話したいと思います。

争いごとは、すべて思い込みから生じているといううわさも。。。

そうです、思い込みこそが、諸悪の根源なのです。

今日は、なぜ思い込みが良くないのかを説明していきたいと思います。

思い込みの原因は何か:確証バイアス

まず、思い込みが起きる原因として、確証バイアスというものがあります。

確証バイアスとは、認知心理学や社会心理学における用語で、仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向のこと。認知バイアスの一種。また、その結果として稀な事象の起こる確率を過大評価しがちであることも知られている。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

要は、人は誰でも見たいものしか見ない傾向にあるということです。

確証バイアスについては、少し古い本ではありますが、養老孟司先生が執筆された「バカの壁」という本が参考になります。

養老 孟司 (著)

人は、本来は客観的に間違っているようなことでも、見たい情報だけ見ている限り、自分の思い込みに基づいて判断してしまう。自分が考えていることや信じていることを証明してくれるような事実にばかり目を向けてしまい、逆に自分が信じることを否定するような事実には目を向けない、そうした思い込みこそが「バカの壁」であるという内容です。

この確証バイアスというのは、スマホが普及してSNSが広がりを見せると、個人の嗜好に合わせたアルゴリズムの最適化によって、さらに強くなる傾向があると言われています。

なぜ人は確証バイアスを持つのか:脳にとって楽だから

では、なぜ人は確証バイアスを持ってしまっているのでしょうか、つまり思い込みが起きてしまうのでしょうか。答えは簡単です。人は分からないものに恐怖を抱くからです。

分からないものというのは、得体の知れないものということです。それが幽霊のようなものであれ、人に対してであれ、自分が理解できない場合は、次に何が起こるかわからないわけです。つまり、自分に危害が加わる可能性があるということです。したがって、人は分からないものに対しては恐怖を抱くようにできているのです。

ここで思い込みの登場です。分からないものについては、人はそのまま放置することはできません。不安がずっと継続することは誰にとっても不快だからです。従って人は分からないものに対して「たぶんこうであろう」という仮説のような思い込みを作り上げるのです。

具体的に説明しましょう。

たとえば、あなたと考え方が異なる人が現れて、その人が一定の権力を持っており、無関係ではいられない存在であったとします。あなたはその人をどう感じますか。良い印象を持つでしょうか、それとも何も感じないでしょうか。

あなたはきっと少なからず不安や危険を感じると思います。そうするとしばらくあなたはその人のことを慎重に観察していると思いますが、考え方の違いが明白になるにつれて、あなたはその人の嫌な面ばかりが目につくようになるでしょう。

その結果、あなたはその人のことを「たぶんこういう人だろう」という結論を付けるはずです。なぜ、全ての面を見ずに結論づけてしまうのでしょうか。実は、安易に結論付ける方が脳にとって楽だからです。考えることを放棄できるということです。

人は分からないものに対して長きにわたって放置しておけるほど強くはありません。従って何かしらの結論を付けて片づけてしまいたくなるわけです。

これは、MBTIの判断型に多いです。MBTIについてはこちらの記事をご覧ください。

思い込みは、どんな危険をはらんでいるのか

「だぶんこういう人だろう」と結論付けてしまったときに、確かにそう感じざるをえない部分もあったのでしょう。

しかし、確証バイアスの性質を踏まえれば、その人の違った側面を見落としている可能性は多分にあるわけです。往々にして人は結論付けるとき、物事の一側面しか見ていません。

特定の個人に対する思い込みだけでなく、人は性別であったり民族であったり宗教であったりといったものに対しても思い込みは生じます。

たとえば、民族に対して「だぶんこういう人たちだろう」と一括りにして結論付けるときは、ことさら危険です。民族を一括りにした結果、世の中に起きた大惨事は皆さんも当然知っていることでしょう。第三次の大惨事を起こさないためにも「思い込み」をしない努力が必要なのです。

思い込みによって虚構の目標に囚われたリーダーほど恐ろしいものはありません。虚構の目標を達成するために、合理的ではない戦略が生み出され、そのためにリーダーの下で働く人たちがムダな作業をすることになるのです。

こちらの記事に書いた労働生産性についても同様で、思い込みによって合理的ではない管理作業が生み出され、生産性の低さに繋がっているのです。

思い込みは何も大きなレベルの話だけにとどまりません。私たちの日常でも多くの思い込みが起きており、それは小さなレベルでも衝突や不平等を生んでいるのです。

思い込みを防ぐ方法:①多様性を学ぶ

思い込みを防ぐ努力として、私たちは昔からコミュニケーションを取るようにと言われてきました。

要は「話せば分かる」の理論です。もちろん、コミュニケーションはとても重要ではありますが、もともと思い込みを持っている人同士が話し合ったところで、上手く解決するかどうかは不透明です。

そこで、多様性を理解する方法として、MBTIをおススメしたいと思っています。MBTIとは性格分類の1つです。

性格分類というと「これまで集団を一括りにしないようにと言ってきたのに、性格で集団を一括りにするのか?」という質問が聞こえてきそうですが、そうではありません。

MBTIのご紹介記事にも書きましたが、MBTIは「人を一括りにする」手段として使うものではなく、「他人の考え方を理解する」手段として使うものです。

MBTIを学ぶことによって、他人と自分は実は全く異なる考え方をしているということが分かります。そして、他の人はこんな風に物事を見て感じ、考えているのかと理解できるようになるため、自分と他人の違いを認識できるようになるのです。

「他人の考え方を理解する」ことで、いかに自分が思い込みを持って生きてきたかも分かるようになり、集団を一括りにするような「楽」な考え方は危険だということも理解できるようになるのです。

今日の記事は、先日のダイバーシティにもつながりますので、こちらも是非読んでみてください。

思い込みを防ぐ方法:②事実に基づく

こちらの記事にファクトフルネスの書評を書いています。まだ見ていなければ是非ご覧ください。

なぜ、ファクトフルネスをおススメしたのか、それは「事実」とは「数字」だからです。

たとえば、XX製品の市場は縮小傾向であるという説明をしても、それが思い込みなのか事実なのかは分かりませんが、「2015年度ではXX億円であったものが、2019年度では+20%増のXX億円に市場規模が大きくなっている」という数字の根拠があれば、事実だということが明らかになります。

もちろん、数字だから何であっても事実であるかといえば、そうではありません。インターネットに上がっている数字はいい加減なものもありますし、数字を取ってくるのであれば、きちんとした機関や団体が情報元であることが重要です。

このように、自分が思い込みをしているかもしれないと感じたときには、こうした数字をきちんと確認することが大切なのです。