書評「ティール組織」【要約】個人事業主の集まりに適した組織

ティール組織という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

ティール組織とは、『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』にて著者であるフレデリック・ラルー氏が定義した新たな組織形態のことです。

今日は、この『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』を要約するとともに、メリットやデメリットについて考えていきたいと思います。

達成型組織の弊害

この本は、現在多くの企業が採用している組織形態は、目標を達成するには適しているものの、その一方で多くの従業員を疲弊させており、今後の時代においては新しい組織が必要であると説いています。

旧来型の組織として「達成型組織」というものが定義されており、これらは目的の達成を第一とする組織であるといいます。

目標に向かって従業員を駆り立てることで、企業として高い成果を上げようとする組織ですが、その一方で①恐怖による疲弊、②上下関係による無駄、という二つの弊害が起きていると説きます。

①恐怖による疲弊

達成型組織の弊害として、まず一つ目は、①恐怖による疲弊です。

達成型組織の従業員は、組織が掲げた目標を達成するように日々プレッシャーをかけられており、従業員は目標達成の有無にかかわらず目標未達への恐怖を抱えることとなります。

従業員を動物のように扱った組織では、何よりも大切な従業員が疲弊してしまっているということです。

②上下関係による無駄

続いて、達成型組織の2つ目の弊害は、②上下関係による無駄です。

達成型組織では、ヒトを管理するために、上下関係を明確にしています。こうした上下関係は、下の者の自主性を失わせ、上の者からの指示を待つようになってしまいます。

この場合、上の者は下の者に作業を指示しなければならないという構図が生まれるため、下の者に作業を実施してもらうためにわざわざ説得しなければならないという管理コストが生じてしまうと問題提起しています。

この本では、これらを解決する手段として、3つの施策が提案されています。

弊害を解決するための施策

存在意義の定義

弊害を解決するための施策の1つ目は、存在意義の定義です。

達成型組織のように生き残ることを目的とするのではなく、存在意義を目的とするように変えていくということです。

つまり、従業員は、自分の存在意義と会社の存在意義を重なり合わせて、従業員に自主的な目的意識、行動への意識を持たせるというものです。

②自主経営

弊害を解決するための施策の2つ目は、自主経営です。

達成型組織のように上司に命令されて動くのではなく、従業員の自らの提案によって会社が動いていくというものです。

従業員自らが今何をすべきかを提案することから始まり、その提案内容への助言を同僚に求めることによって関わる範囲を広げ、皆からの賛同が得られれば、最終的にその活動は大きなものとなっていくというものです。

③全体性

弊害を解決するための施策の3つ目は、全体性です。

達成型組織では、従業員の人間性については、あくまで目標達成に関する部分しか関心を持ちませんが、ティール組織では従業員の人間性をまるごと受入れ、心理的安全性を獲得していくことを目指します。

達成型組織では、従業員の本当の個性と、会社内での個性とが切り離されたものとなりがちですが、ティール組織では自分のありのままで仕事をすることで、大きな成果を得ると言うものです。

感想:ティール組織とは個人事業主の集まり的な組織

個人的な感想としては、ティール組織というのは、もはや従来の組織とは全く異なるという認識を持ちました。どちらかというと、組織という呼称はあまりしっくりこなく、「個人事業主の集まる場」というイメージです。

私はもともと、今後の時代においては、企業に帰属するという考え方は無くなっていくと考えています。つまり、個人が自分のスキルによって生きていく「超個人主義」の時代が来ると予想しています。

実際に、この日本においても年功序列や終身雇用は崩壊し、テクノロジによってあらゆる産業が再定義され始めています。

これまでの時代であれば、企業は単純作業をするワーカーを必要としましたので、あまりスキルのない人でも、なんとか会社にしがみついて、仕事を得ることはできました

しかし、AIが単純作業を精度高く何倍ものスピードでこなしてしまう新しい時代においては、スキルのない人は生き残ることができません。極端な話、AI時代では、自らを変革し続けることができない人は、仕事を得ることが出来ないようになると考えています。

そうした状況においては、スキルをもった個人がプロジェクトベースに集まって仕事をしていくことになるでしょう。その際、そうした個人が集まる場を提供するのがこのティール組織なんじゃないかと思いました。

それゆえ、現代に多く存在する従来型の組織にこのティール組織の考え方を取り入れていくには、少し早すぎるかなという印象です。 せめて、ティール組織の「従業員を大切にする」「自主性を重んじて上意下達的な管理の無駄を省く」という点を少しずつ取り入れていくという程度かなと思います。

しかしながら、ティール組織の問題提起や解決策については、学んでおいて損はないと思います。皆さんも是非読んでみてください。

フレデリック・ラルー (著)