AI時代に適合した組織形態を考える

今回の記事は、こちらの記事(ティール組織)の続編のようなものです。

私は、もう10年以上、コンサルティング業界に身を置いていますが、社員にノルマを追わせるような仕組みを用いている会社は、もうこれからの時代では社員を疲弊させるだけであり、長期的に繁栄できなくなると感じています。

先日の書評「ティール組織」にも少し書きましたが、このような仕組みを採用する企業は、組織全体で目標を達成することにかけては確かに強いものの、社員にその目標をノルマとして背負わせることによって、大切な社員を疲弊させているからです。

そこで今日は、どのように社員に動機づけていくことが、今後の新しい組織の在り方なのかについて考察していきたいと思います。

達成型組織は、社員を疲弊させる

まず、ティール組織に倣って、冒頭に書いたような社員にノルマを追わせる仕組みを用いている企業を達成型組織と呼称したいと思います。

そして、この達成型組織の良くない点について先に言ってしまうと「①社員を疲弊させること」「②社員を長期的な視点で成長させないこと」だと考えています。

後段で新たな組織形態を考察する前に、まずはこの達成型組織の良くない点をしっかり理解していくことから始めたいと思います。

まず「①社員を疲弊させること」からいきましょう。

達成型組織の本質は、社員にノルマを追わせ、それをクリアしたときに得られるインセンティブを高く設定することで、組織の目標達成を最大化させることを狙っています。

社員にとって、このインセンティブが高く設定されるほど、所属する組織が居場所ではなくなってしまいます。どういう意味かと言えば、居場所というものにはゴールがありませんので、何の目標も達成しなくていいというのが本質であり、だからその居場所にいる人々は安心できるのです。

もし、何かを達成するためにその場所にいるのであれば、その場所は居場所ではなく、プロジェクトとなります。プロジェクトは有期性であり、目標達成したら解散するという性質を持っています。しかし、解散したら、社員はまた新たな居場所を作らないといけなくなりますので、気が休まりません。

また、インセンティブを高く設定している企業は、必ず相対評価を採用しているため、社員は同僚よりも相対的に良い評価を得るために、本来協力すべき同僚をライバルとして視ることになります。このような行為は精神衛生上も良くなく、社員は焦燥感に駆られながら働くことになります。

つまり、インセンティブが高く設定されるほど、所属する組織が居場所からプロジェクトに変わってしまうため、社員が疲弊するということです。

達成型組織では、社員を長期的な視点で成長させない

続いて、「②社員を長期的な視点で成長させないこと」についてです。

達成型組織では、ノルマを達成しさえすればいいのですから、極端に言えば、太い客を掴んで手放さず、新しいことにチャレンジしなくても良いと言うことになります。

実際、このような行動というのは珍しいことではなく、既得権に基づく政治的な行動というものがいつの世も存在しますが、達成型組織でも例外ではないということです。

ノルマさえ達成すれば、同じことを営々と繰り返していても問題ないのですから、本人は実質的に成長していなくても、数字が上がっているので出世してしまうという無駄も起こります。もちろん、新しいことにチャレンジしてノルマを達成していくこともあると思いますが、人というのは、既に持っているスキルを使ったほうが結果を出しやすいものです。

長期的な視点で成長するためにチャレンジするよりも、ノルマを達成するため、短期的な目標を達成するために、同じ仕事をし続けるという選択が起こってしまいます。

これでは、社員は長期的に成長しないだけでなく、余計に今の蟻地獄から抜け出せなくなってしまいます。また、組織にとっても、自らを弱体化させる動きにもなってしまいます。

新たな組織形態とは、コミュニティ形態である

それでは、どのように社員に動機づけていくことが、今後の新しい組織の在り方なのかについて考察していきたいと思います。

その前に、達成型組織の良くない点だけではなく、良い点も見つめる必要があります。良い点は何かといえば、それは「何もしないで給料を得るブラサガリーマンを減らすこと」に他なりません。社員個々人に目標設定が厳密に設定されますので、何もしなかった人を数字で簡単に判断できるということです。

そうした点も踏まえると、新たな組織形態には、社員を疲弊させず、長期的な成長を促し、ブラサガリーマンを減らし、利益を確保することが求められるわけですが、これを満たす組織形態が1つだけあります。

それは、一般的な企業の雇用形態からは大きく変わってしまいますが、時代に適合した組織形態です。どのようなものかと言えば、社員の自主性に基づくコミュニティ形態というものです。

コミュニティ形態では、基本的に、フリーランスに対して、契約や法務や財務といったバックオフィス業務の代行、有識者とのネットワーク、オフィス環境を提供するだけの企業です。

社員にとっての居場所にあたりますが、何かの目標設定を課したりしません。その代わり、フリーランスが自主性に基づいた行動によって得た対価から数パーセントをもらうという形態です。

このようなコミュニティ形態であれば、社員の自主性に基づくことになりますので、社員を疲弊させず、長期的な成長を促し、ブラサガリーマンを減らし、利益を確保することが可能です。

コミュニティ形態は、個人化する時代に適合したもの

これを見て、皆さんは、コミュニティ形態とはまるで個人事業主が集まる場所を提供するだけに見えたのではないでしょうか。その通りです。

これからの時代、AIによって既存の産業が再定義され、ロボによる自動化が行われることで多くの人が今のような量を働く必要がなくなることは、既にご存知の方も多いと思います(その代わり、ベーシックインカムが導入されるため、生きていくことに困ることはないでしょう)。

ゆえに、仕事が出来るのは、ロボに代替されない技術を持った人、そうしたスキルを個人として保有している人に偏っていきます。

そのような人が個人事業主として、世の中に貢献していく場所を提供するもの、それがコミュニティ形態の企業ということになるのです。

つまり、達成型組織が次第にダメになり、代わりにコミュニティ形態が主流になっていくというのは、AIの台頭という時代の流れを考えれば必然なのです。

では、私たちはどうすればよいのでしょうか。それは、このような未来をしっかりと予測しながら、個人として食べていけるだけのスキルを付けていくということに他なりません。

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ラボネコ
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