現代はデジタル時代と言われます。
日本におけるデジタル時代とは、単にシステムやAI等の新しい技術が到来したことだけを指すものではないと思っています。
日本は、いまや課題先進国として、少子高齢化や財政悪化、国際競争力低下といった課題を抱えています。
そうした状況を踏まえると、日本におけるデジタル時代とは、それらの課題をどのようにデジタルで解決できるかを考えていかなければならない時代だといえます。
課題先進国としての日本
日本は、戦後からの復興で右肩上がりの経済成長を遂げました。しかし、その復興自体は、アメリカという真似すべき相手が既に存在しているキャッチアップモデルであり、加えてドッジ・プランと朝鮮戦争特需に支えられた成長であったことが明らかとなっています。
つまり、その時代の日本が先進的で革新的であったわけではなく、単純に環境に恵まれていたということです。
そして現代は、課題先進国として、答えのない時代の舵取りが求められています。
つまり、これまでのようにアメリカが既に通った道を歩めばいいわけではなく、そのための詰め込み教育でいいわけがなく、人口は減って労働力も減る一方のため、やり方を変えていかなければならない時代なのです。
それにも関わらず、教育や社会保障をはじめとして、日本の制度は1960年ごろから本質的に変わっていないものが多々ある状況です。
このままではいけない、新しい考え方が求められているというのが日本の現状です。
日本の改善に必要なのはデジタル化
しかし、幕末や戦後と異なり、抜本的な改革には手をつけづらいのが現代の日本です。
日本では、戦後の成功体験が染みつき、現状に危機意識が少なく、事なかれ主義な人が残念ながらマジョリティを形成しています。
それゆえ、改革というよりは今のやり方を大きく変えずに少しずつでも確実に改善していく方が、現代の日本人に合っていると考えます。
そうした場合、最もあっている改善方法は何でしょうか。わたしの答えはデジタル化です。
なぜなら、デジタルというのは新しい概念であるため、既存の既得権益層には理解しづらい領域であり、導入を進めやすいからです。また、既存の給付と負担に痛みを伴うことが少ないという特徴もあります。
ゆえに、日本政府、そして日本の企業は、デジタル化を推進していくことを優先事項とすべきだと考えます。
デジタル化で周回遅れの日本
日本政府は、2018年にデジタルガバメント実行計画を策定し、菅内閣となってデジタル庁の設立を検討するなど、少しずつですがデジタル化を進めています。
そして、日本の企業においても、デジタルトランスフォーメーションがバズワードとなって流行したことで各社でDX室などが設置されています。
その実態としては、旧来型のシステム導入の延長戦のようなものも多いでしょう。デジタルとシステムは違うという主張もありますが、いずれにしても手管理などの非効率なアナログから脱してテクノロジの活用を進めることには変わりませんから、良い改善だと思います。
とはいえ、欧米や中国に比べて、日本はデジタル化(システム化)で大きく水をあけられていることには変わりません。
特に日本政府は、国民(主に高齢者)に置いてけぼりを作らないという理由から公平性という名のもとに紙運用がいまだ多く残っている状況です。
また、何かあるとマスコミが騒ぐため、行き過ぎた情報セキュリティ基準によって、新しいテクノロジの活用に保守的でもあります。
加えて、政府の意思決定者は50代以上の人たちというのもあり、比較的新しいものには否定的という観念的な理由もあります。
そしてこれらは、日本人の特徴である「人々の融和と調和を優先しすぎて、戦略的合理性に欠ける」国民性が大きな原因の一つになっています。
日本人に必要なのは合理性に基づくデジタル化
日本において、一部の官僚がアメリカを模倣した仕組みを作り上げて、残りの国民は融和と調和だけで右に倣っていれば成長できたのは、もう昔の話です。
課題先進国となって模倣先がなくなり、一部の官僚に頼っていてもダメだと分かった現代においては、日本の国民一人ひとりが変わっていかなければなりません。
先程、課題先進国の日本において、最も受け入れやすい改善はデジタル化だと述べました。そして、そのデジタル化を阻んでいるのは、調和を重んじ過ぎて戦略的合理性に欠けてしまっている国民性だと言いました。
それゆえ、課題先進国の日本を沈めないためには、日本人一人ひとりが合理性に基づくデジタル化を進める意識が必要なのです。
政府や勤め先の企業に頼っていては、これまで通り周回遅れのままです。
中国の台頭によって世界のパワーバランスが崩れ、アメリカのグローバルテック企業が席巻する現代において、今のままでは従来のような富を享受できない可能性があり、日本人は今こそ欧米や中国に倣って、合理的な思考回路を磨くべきだと思います。
そこでこのサイトでは、日本のデジタル化を少しでも推進すべく、日本人の合理的思考とデジタルスキルの向上に寄与するため、様々な知見を公開していきたいと思います。
新型コロナウィルスが加速させたデジタル時代において、すべての業種におけるホワイトワーカーの方たちに、デジタル時代の新しいスキルを身につけていただきたいと思います。