前回の記事はこちら。
第一回目:ストーリーラインの作り方
資料作成において、「背景」→「課題」→「施策案」→「実行計画」という型で情報整理を行う際の方法を書きました。
今日は、その後編ということで、実際にパワーポイントでスライドを作成する際のポイントをお伝えしていきます。
相手の視点に立つこと
続いて重要なことは、資料を見る相手をしっかり意識するということです。
絵本は子供向けに、新聞は大衆向けに、専門書は専門家向けに、相手の知識レベルに合わせて作られています。それと同様に、資料を作成する際には、相手に理解度に合わせて言葉を選ぶ必要があります。(たとえば、営業の人にシステムの話をするとき、難しいキーワードばかりではついてこれません)
どんな文章でも、読み手の理解度に合わせていない場合は読みづらいです。難しい表現で威厳を持たせようとしたり、わかりやすくする手間を省いたりといったことはやってはいけません。
タイトル・メッセージ・ボディの意味を合わせる
それでは、スライド作りに入りましょう。
以下が主なパワーポイントの様式です。
まず最初に気を付けるべきことは、タイトルとメッセージとボディのそれぞれで示している意味を一致させることです。
たとえば、タイトルが「XXXについての課題」となっているのに、メッセージやボディが「XXXについての現状を説明するだけの内容」になってしまっていると、一致していないということになります。(現状の説明であって、課題の説明になっていない)
具体的には、以下のような感じです。
- タイトル: 子どもの貧困率の国際比較
- メッセージ:日本の17歳以下の子どもの相対的貧困率は、OECD加盟国の中でもワースト10
- ボディ:OECD各国の各国の貧困率比較(出典:OECD(2014)Family database “Child poverty” )
フォントや色味を統一する
次に気を付けるべきことは、初歩的なことですが、1つの資料の中ではフォントや色味を統一することです。それだけで見た目は良くなります。
色味としては、赤や黄や青といった原色を多用することは良くないです。コンサルであればコーポレートカラーを中心にスライドは作成しています。たとえば、ボストンコンサルティンググループであれば緑を基調に薄黄や薄水を使っていくとか、マッキンゼーであれば白黒グレーに青を使っていくとかです。
タイトル・メッセージ・ボディのフォントを統一すること、タイトルとメッセージは文字の大きさを統一し、ボディは文字の大きさをあまり変えないことです。たまにボディの文字が大きさがコロコロ変わる資料がありますが、単純にキレイではありません。
あとは、文字の大きさを完全に統一する必要はないのですが、ポイント11が中心の資料の中に、いきなりポイント20の文字を出すといった資料は、単純にキレイではありません。基本的には、ポイント11~14の中で文字を書いていきましょう。
メッセージは言いたいことを端的に
メッセージは、あまり長い文章を書かずに、凡そ30~80文字くらいがベストです。
それ以上に長い文章で書かれていた場合、まず読んで端的に理解することが手間ですし、そもそも資料を作成している人も言いたいことが整理できていないため、読んでも何が言いたいのか分からないのです。
コンサルの現場でよく言われるのは、1スライド1メッセージです。1つのスライドの中で言いたいことが複数ある場合は、スライドを分けましょうということです。
なお、メッセージで「以下のとおり」といった表現を稀に見かけますが、これはメッセージを考えるという行為を疎かにしているため、望ましくありません。
あと、ボディの中に”ポイント”という表現でメッセージが散らばっているときがあります。ポイントが重要なことなのであれば、きちんとメッセージに落とし込みましょう。
ボディは情報整理の仕方を適切に
ボディは、メッセージの論拠を示すものです。従って、その信憑性が重要となります。
論理展開として妥当であることをしっかり確認しましょう。書き手の思い込みのような論理展開はNGなので、事実に基づくことが重要です。事実に基づくことの重要性についてはこちら。
ボディは「表」か「フロー」か「グラフ」のどれか(または組み合わせ)で表現しましょう。コンサルの資料はググればたくさん出てきますが、結局のところボディはこれらのどれかに収れんします。
「表」「フロー」「グラフ」ともに二次元です。従って、縦軸と横軸から成り立っており、この縦軸と横軸に何を設定するかが重要です。
縦軸、横軸の設定は、MECE(漏れなくダブりなく)にしましょう。
その上で、表の縦軸や横軸に10以上の項目が並んでしまったら、グルーピングが不足しています。グルーピングは、それぞれの事象を抽象化して1つにまとめるということです。例えば、国家間の何かの比較をしているとき、国がずらずらと130個以上並んでいたら分かりづらいですよね。比較する意図を踏まえてグルーピングするはずです。地域ごとの差を見るのであれば「アジア」「ヨーロッパ」「アフリカ」という感じでグルーピングしますし、経済状況ごとの比較であれば「先進国」「途上国」というグルーピングで分けます。
なお、縦軸と横軸に”その他”という項目をよく見かけますが、”その他”を入れている場合は情報が整理されていない可能性がありますので、軸の整理を再度実施してみてください。少なくとも面積の大きい”その他”は控えたほうがよいです。
あと、フレームワーク(「SWOT」や「4P」など)を使って軸を整理する場合も多いです。何のフレームワークが適切であるかは、よく考えて選びましょう。
グラフについては、「棒グラフ」や「円グラフ」といったものにはそれぞれ特徴があります。こちらも何が適切であるかは、よく考えて選んでください。
いかがでしたでしょうか。
最後に、コンサルタントとして資料作成方法を勉強する上でおススメの本をこちらで取り上げておきます。