この本は、ダイエットやメンタルヘルスを主とした海外の論文などを分かりやすく紹介されている有名サイト「パレオな男」の著者である鈴木祐さんによる体調に関する要素の集大成ともいえる本です。
最近体調がすぐれないなぁという人には、是非読んでほしい一冊です。
体調の問題は文明病にある
この本のキーとなる要素は「文明病」です。
人間の基礎が形成された700万年前から人類は狩猟採集の生活をしており、農耕が始まったのはほんの数万年前です。
そのため、人間の身体というのは、狩猟採集の生活(パレオ)に最も適した構造となっているということです。
一方で、現在の生活というのは、加工食品を食べたり、様々なことをマルチタスクで行うことでストレスが生じたり、これらは本来の人間の身体が適した環境ではありません。
それゆえ、現代の生活は人間の身体との間でミスマッチが起きているということが体調不良の根本的な問題だとしています。
文明病とは、加工食品の摂取とストレスに起因している
もちろん、狩猟採集の生活と比べれば、現代は安全です。
動物などの敵に襲われて殺される心配もなければ、病気にかかってもすぐに死ぬことはなく、治療や薬を得ることができるため、寿命はとても長くなっています。
しかし、通常時の体調はどうかといえば、狩猟採集の時代と比べて現代は格段に悪くなっているのです。
その根拠として、いまも狩猟採集の生活を続ける民族などの体調と、都市で生活する人々の体調を比べると、都市で生活する人々の体調は、食生活や人間関係のストレスによって、狩猟採集生活の民族と比べてはるかに悪いという結果を紹介してくれます。
つまり、文明病とは、現代人が食べている加工食品や、現代社会でのストレスが起因しているということです。
そして著者は、自らが実験台となって「パレオダイエット」(旧石器時代の食事法)に取り組み見事ダイエットと体質改善を実現させます。
現代人の不調の原因は「炎症」と「不安」
現代人がとっている加工食品や、現代社会でのストレスは、炎症と不安をもたらします。
炎症とは
加工食品などによって引き起こされるのは、体内での炎症です。
炎症とは、ヒトの細胞レベルで起きる火事のようなもので、多くの研究によって鬱、肥満、糖尿病といった様々な不調の原因になっていることが分かっています。
著者は、この炎症を抑えるために、自然と触れ合うことが最も費用対効果が高いといいます。
また、腸内細菌を保つために、加工食品は取らず、食物繊維や発酵食品を食べるように勧めています。
不安とは
不安については、危険に対するアラームであると定義します。
狩猟採集時代での不安というものは、敵や動物に襲われるかもしれないといった直接的ではっきりとしたものでした。
しかし、数万年前に人が農耕を始めて蓄えるということを学んでからは、権力や社会というものが徐々に形成されていき、不安は間接的でぼんやりしたものになっていったのです。
人間の身体というものは、こうした間接的でぼんやりとして分かりづらい不安への対処は慣れていないのです。
著者は、この不安を解消するためには、自然に触れあうことで副交感神経を活性化することが重要だと説きます。
自然は偽物でもよいということで、自然の多い動画などを見ることでも不安解消につながるということでした。
こちらの記事でご紹介したような自然系ユーチューバーを見ることでも良いのかもしれませんね。
その他にも、マインドフルネスに代表される瞑想も効果的で、一日に30~40分の瞑想を八週間ほど続ければ薬物治療と同じレベルで不安と鬱を和らげることができるということでした。
とても学びの多い本ですので、是非皆さんも読んでみてください。