【2021年度】コンサルティングの潮流【フレームワークからERP、そしてデジタル時代へ】

今日は、コンサルティングを生業とする企業がどのように生まれたのか、そして、時代を経てどのようにトレンドが変わってきているのかをお話します。

難しいの苦手だな~、簡単に教えてよ。

そのつもりです!それではいきましょうー!

コンサルティングファームの創成期【フレームワーク時代】

コンサルビジネスのはじまりは、19世紀の終わりあたりと言われています。

当時、個人がアドバイザーのポジションで知見を提供し、報酬を得るようになったのが最初です。

その後、マッキンゼーのマービン・バウワーといったスターコンサルタントが出現し、徹底的な合理主義の考え方を編み出し、売上最大化やコスト削減の方法論が編み出され、コンサルが一躍有名になっていきました。

高い情報収集力、ベストプラクティスに基づいたフレームワーク、数値をベースとした合理的な分析力により、成果を出していきました。

これを私はフレームワーク時代と呼んでます。

この頃はインターネットも発達していないため、クライアントとコンサルの間には情報の非対比性が存在していましたので、そこを上手くつかったビジネスと言えます。

1970~2000まではこうした情報の非対称性が、コンサルなどのプロフェッショナル集団の主たる武器であったことに異論はないと思います。経験に基づく知識がものをいう、いわゆるグレーヘアコンサルです。

コンサルティングファームの成長期・安定期【ERP時代】

1990年後半からは少しずつ様変わりしていきます。

経済と通信技術の発展から、多くの企業が業務効率化を推進する中、大規模ERP(SAPやEBS等)が登場します。

従来のフレームワークを用いた戦略策定やBPRといったものは依然として残っていましたが、ITがメインストリームにのし上がってきます。これをERP時代といいます。

そして、この頃にはインターネットが普及したことで情報の非対称性が減少していきます。

フレームワーク等の方法論のみならず、分析すべき情報もクライアント自身である程度グーグルなどで集められる時代になっていきました。

従来と同じ方法では付加価値が少なくなるため、コンサルティングファームでは情報の分析の深さとスピードで勝負するようになります。

そのため、グレーヘア主体から若手の採用に切り替え、経験に基づく知識は一定のリーダーが担い、若手は一生懸命に分析するという方法で付加価値を探っていきます。加えて、総合系コンサルではITコンサルを軸にスケールしていきます。

コンサルティングファームの変革期【デジタル時代】

そして近年、グローバルレベルでの人々の生活スタイルは、デジタルで大きく変わってきました。

半導体技術の高度化によってサーバーの処理速度が劇的に上がり、そこからクラウドやAIといった技術が登場しました。

また、iPhoneの登場で人々とインターネットが更に近くなり、SNSの登場なども相まってデータが爆発的に増加しました。

UberやSpotifyといった既存の業界のディスラプターも現れていきます。その点についてはこちらの記事に書いています。

こうした環境下から、新聞やテレビといった従来からのメディアの影響力が薄れる一方、ネットの影響力が増していきます。

BtoCの企業を中心に顧客との接点を多様化するオムニチャネル化が進むとともに、大量のデータを分析する技術としてAIの活用が広告や小売や金融業をはじめとして進んでいきます。

これをデジタル時代と呼びます。デジタルトランスフォーメーションについてはこちらの記事、デジタルとシステムの違いについてはこちらの記事に記載しています。

これまでのERP時代とは異なり、デジタルが全ての企業に浸透し、デジタルを中心に戦略を考えていく時代になったということです。

コンサルティングファームとしては、従来のやり方では稼げなくなっており、どのコンサルファームもデジタル関連のソリューション強化を行っています。マッキンゼーやBCGでさえ、ERP時代にはシステムに注力していませんでしたが、デジタル時代ではそうは言っていられなくなっているのです。

デジタル時代のコンサルティングファームの役目とは

デジタル時代になると、グーグルやIBMといったデジタルを扱う企業から、最適なAIエンジンを積み、実用化に耐え得るパッケージ製品が次々と出てくるでしょう。

コンサルタントは、そうしたデジタル技術を念頭に、デジタル戦略を描き、デジタルを業務に落とし込んでいくことになります。

ERP時代とは異なり、デジタル時代にはデータアナリティクスも主要な支援項目となるため、データ収集やクレンジング、モデル最適化という業務も担っていくことでしょう。

もちろん、従来からある戦略策定や業務改善といった領域も残っていきますが、それらはデジタルと切り離されたものではなく、ほとんどがデジタルに立脚したものとなります。

こうした状況は、コンサルティングファームとソリューションベンダーとSIerの境目を今よりも更に無くしていくものと思われます。(コンサルとソリューションベンダとの関係はこちらの記事に書いています)

そうした動きと合わせて、コンサルティングファームは、デジタルを軸にしたアウトソーシングも担っていくことになるでしょう。企業のIT戦略担当は、コンサルティングファームから派遣されたCIO補佐官が担っているという時代が来ると思います。

デジタル時代では、コンサルティングファームの在り方も大きく変わっていくでしょう。これからも注目していきたいと思います。