コンサルファームとソフトウェア企業(SAP, Salesforce等)

第四次産業革命といわれるこの時代、シリコンバレーの有名ベンチャーキャピタルであるアンドリーセン・ホロウィッツの共同創業者でありネットスケープを開発したマーク・アンドリーセンは「ソフトウェアが世界を飲み込む」と言いました。

その意味するところは、これまでの時代の中心的な産業は、鉄道、車、家電といったハードウェア(いわゆるモノづくり)が主体であったのに対して、今後の時代では、そのハードな部分では競争優位に立てなくなり、どの業界もソフトウェアを活かしていかなければ、すぐに駆逐されてしまうだろうという意味です。

今日はそんなソフトウェア企業の主要どころをすべて紹介していきたいと思います。

ソフトウェアの覇権はBtoBをどこが取るのかで決まる

ソフトウェア産業では、Google, Apple, Facebook, Amazon といった有名企業が目立っています。しかし、彼らはいずれも一般消費者を相手にしているBtoC企業です。

産業規模という意味では、一般消費者を相手にするBtoCよりも、企業を相手にするBtoBのほうが圧倒的に大きいです。

経済産業省のデータによれば電子商取引だけの比較においても、BtoBはBtoCのおよそ20倍(BtoCは16.5兆円、BtoBは317.2兆円)です。

つまり、ソフトウェアが世界を飲み込む過程においては、このBtoBをどの企業が取るのかというのが重要なポイントなのです。

ERPベンダー

まず始めに紹介するのは、1990年代からあるERPをメインとした企業です。

代表的なところでは、バックオフィス系(人事・会計・調達など)業務システムであるSAP, Oracle, MicroSoft(Dynamics), Workday、そしてCRM系業務システムであるSalesforce などです。

彼らはもともとオンプレミスでのシステム提供をメインとしていましたが、最近はSaaS型ビジネスが伸びてきたということもあり、クラウド移行を行い、サブスクリプションタイプに変えてきています。

そしてエマージングテックへの投資も積極的であり、SAPではLeonardo, SalesforceではEinsteinといった機械学習の機能であったり(過去の偉人の名前から取っていると思われる)、最近ではSalesforceがHyperledgerというブロックチェーン(プライベート・コンソーシアムチェーン)の利用にも積極的です。

クラウドベンダー

次に紹介するのは、Amazon Web Service(AWS)やMicroSoft(Azure)やGoogleの(GCP)といったクラウド企業です。

SAPやSalesforceもクラウド企業ですが、彼らはSaaSベンダーであり、AWSやAzureはIaaS/PaaSベンダーだと思ってください。

感の良い人は、ここにAmazonやGoogleといったBtoC企業が入っていることにハッしたのではないでしょうか。そして、Amazonの収益はほとんどこのAWSによるクラウドビジネスだと知ったら、もっと驚くのではないでしょうか。

Amazonが行っているBtoC向けのEC事業は、薄利多売であり、BtoBのクラウドビジネスと比較したら、実はそこまで稼ぐことができていません。つまり、BtoCで伸びてきたAmazonは、更なる成長を求めて、BtoBの領域でも覇権を取ろうとして動き、AWS事業をドル箱にまで育ててきたということです。

そして、特徴的なのは、ERPベンダー、クラウドベンダーともに収益性がとても高いということです。現在はGoogleやFacebookなどが時代の寵児となっていますが、BtoBは市場規模が圧倒的に大きいですから、こうしたBtoB向けのソフトウェア企業が今後もっとも活躍する可能性があるとも言われています。

コンサルティングファームとソフトウェア企業

コンサルティングファームのうち、テクノロジ領域に強い総合系コンサルティングファームでは、上述に挙げてきたソフトウェア企業とアライアンスを組み、クライアントへのテクノロジ導入を行う案件がとても多くなってきました。

総合系コンサルティングファームのホームページを見てみれば、アライアンス先として上述の企業たちが名前を並べているのが分かります。

コンサルティングビジネスにおいては、昨今のデジタルトランスフォーメーションのブームに乗って市場はさらに大きくなり、データの活用という文脈から彼らのプラットフォームを利用することも非常に多くなりました。

デジタルトランスフォーメーションについてはこちらの記事をご覧ください。

デジタルトランスフォーメーションをする上でこうしたソフトウェア企業を使いこなすためには、しっかりコンサルを使いこなしてデータドリブンの戦略を考える必要があります。