【書評】「グーグルが消える日 life after google」

今日は、GAFAなどのプラットフォーマーへの課題認識を持っている方には楽しめる一冊をご紹介します。

内容については少し婉曲的なところはあるものの、ブロックチェーン技術の可能性など色々と賛同できるところも多かったので、書評を書きたいと思います。

グーグルのビジネスモデルに未来はない?

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グーグルは、GmailやGoogleMAPなどの優良なコンテンツを無料で提供することで、ユーザーの圧倒的な囲い込みを行い、広告料で稼ぐというビジネスモデルです。

グーグルの広告は、ターゲティング広告といって利用者のキャッシュ等から個人情報を拾い、その個人情報に合った広告を出してクリック率を上げるというものです。

つまり、他人の個人情報を勝手に使っており、人のプライバシーを侵害することで成り立っているビジネスモデルだということです。

そうした状況の中、EUROでは、一般データ保護規則(GDPR)が始まっており、個人情報を勝手に使っているGAFAを主なターゲットとして規制を設けようとしています。アメリカでも、Facebookの個人情報流出に対して強い嫌悪感が出ています。

このように、世界は今後、GAFA等のプラットファーマーへの規制を強化する方向であり、GAFAのビジネスモデルに未来はないと著者は言い切っています。

ブロックチェーンによる新たな変化

個人情報に対する世界的な意識の高まりとともに、グーグルのようなデータを独占するプラットフォーマーに対抗する技術として、ブロックチェーンという分散型の技術が既に生まれています。

ブロックチェーンとは、分散型台帳技術、または、分散型ネットワークである。ビットコインの中核技術(サトシ・ナカモトが開発)を原型とするデータベースである。ブロックと呼ばれる順序付けられたレコードの連続的に増加するリストを持つ。各ブロックには、タイムスタンプと前のブロックへのリンクが含まれている。理論上、一度記録すると、ブロック内のデータを遡及的に変更することはできない。ブロックチェーンデータベースは、Peer to Peerネットワークと分散型タイムスタンプサーバーの使用により、自律的に管理される。フィンテックに応用されるケースでは独占や資金洗浄の危険が指摘されることもある。

ウィキペディア(Wikipedia)より

ブロックチェーンは、分散型のシステムであり主に以下の利点から、プライバシー問題を解決するポテンシャルを持っています。

  • 中央集権的ではなく分散管理となるため、誰かにデータを独占されない「共有性の高さ」
  • 承認されたデータを全参加者が同時に参照できる「透明性の高さ」
  • 一度合意したデータはほぼ確実に改ざんができない「堅牢性の高さ」
  • システムの一部が故障しても他が生存している限りシステムがダウンしない「信頼性の高さ」

一方で、ブロックチェーンの弱点は以下です。

  • 通常のシステムと比べてデータ処理が遅い
  • 過去のデータを確認する際には遡って確認が必要となるため検索性が悪い
  • パブリックチェーンの場合はPoXが必要となって、電力と労力がかかる
  • 仕様変更が困難
  • フォークされる可能性がある

確かに破壊的な技術ではありますが、今はまだ実用化に向けたハードルも高い状況です。

ブロックチェーンもプライバシー問題には弱い

ここで一つ疑問があります。

著者は、GAFAを倒す技術としてブロックチェーンを説明していますが、GAFAを倒すためにはプライバシー問題を解決する必要があるのは明らかです。なぜなら、プライバシー問題以外のことに関しては、誰もGAFAに文句がいえる状況ではなく、倒すのであれば弱点をつく必要があるからです。

しかし、ブロックチェーンの利点として透明性の高さをお伝えした通り、実はブロックチェーンはプライバシー保護をむしろ得意とはしていません。

透明性が高いので誰でも確認できてしまいますし、ハッシュ値のみの管理だとしても、その先の個人情報は誰かが管理するものであり、また記録は永遠と残ってしまうため、個人情報の定義が変わっても柔軟に対応できません。

よって、ブロックチェーンによってグーグルを消してしまえるという点については、懐疑的な部分を私は持っています。

トークンエコノミーを活用するGAFA

最近では、Facebookがイノベーションのジレンマを克服すべく、自ら、Libraというブロックチェーンを使った仮想通貨を発表しました。

こうした動きは、その他のGAFAでも起こりうるものであり、彼らはむしろブロックチェーンの技術を使いこなそうとしています。

Libraの目的は、仮想通貨を使ったトークンエコノミーによって独自の経済圏を作り上げることです。

たとえばLibraに参画した企業全体がドルを使わずにLibraで決済や給与支払が行えるようになれば、そこでLibraを使った経済が回り始めます。これをトークンエコノミーといいます。

そして、仮想通貨であれば、銀行が間に入らないので、送金もゼロですし、Libraであれば主要通貨のバスケット(例えば米ドルとユーロと円の何らかの意味での平均)を裏付け資産として持つということなので、通貨としても安定します。ですので、特に通貨の安定しない国(アフリカとか)の人からすると自国の通貨よりも持ってて価値があるものになるかもしれません。

まだどうなるかわかりませんが、広告に代わるビジネスモデルが作れるのか、これからもGAFAの動きに注視したいと思います。