
新卒から時々「コンサルタントの仕事って、思っていたのと違いました」という言葉を聞きます。
「それじゃ、どんな仕事を想像していたの?」と聞き返すと、あまり明確な答えは返ってきません。
おそらく、新卒の子は、入社後すぐにクライアントの経営層と議論をして、きれいな資料を作成しプレゼンを行い、クライアントにとって重要な意思決定に関われると思っていたのでしょう。
こういうとき、採用時の企業の説明というのは、良いところだけをデフォルメしたものであることを正直に教えてあげます。
新卒にはリサーチなどのパワー作業が期待されている
クライアントの経営層と議論をして、きれいな資料を作成しプレゼンを行い、クライアントにとって重要な意思決定に関われるといったことは、新卒ではまず不可能です。
当たり前ですが、物事には順序や役割というものがあります。
新卒というのは、プロジェクトの全体像はあまり理解できないまま、先輩に言われたとおりリサーチを行い、リサーチがないときはひたすらパワー作業をこなすことが関の山なのです。
なぜなら、それ以外のことをやらせても、専門領域がないため、費用対効果が悪いからです。
そもそも新卒は何の専門領域もありません(大学院で勉強しているかもしれませんが、お金を稼げるレベルにはほとんどないです)。
そのため、ジョブサイドは、教育的観点から採算性の悪い新卒をプロジェクトに参画させているわけで、必然的にやらせる仕事もパワー作業がメインとなるわけです。
そういうことが最初から分かっていれば「やりたいことがやれない」という発言が出てくるわけがないのです。
採用時の企業説明のデフォルメに騙されるな

古今東西、どの企業も同じですが、新卒に対する採用説明は、かなり都合の良い事、聞こえの良い事ばかりデフォルメされています。
採用担当が学生に向けて話している内容というのは、基本はカッコよくデフォルメされた情報であり、企業の屋台骨を支えている本質的な実務が見えてきません。
当たり前ですが、どの企業もカッコいい仕事ばかりをしているわけではありません。カッコいい部分はせいぜい会社の実務の10%程度であり、残りの90%は従来からの仕事をコツコツと実施しているわけです。それはコンサルティング会社も同様です。
結局、採用は優秀な人材をいかに確保するかですから、嘘ではない程度にデフォルメしたとしても、入ってから現実に向き合って頑張ってもらえばよいと判断しているということです。他社もやっているじゃないかという論理なわけです。
結果、泥臭い実務は見えないまま、企業のポジショントークを鵜呑みにした新卒が、入社後に「こんなはずじゃなかった」ということになるわけです。
すぐに辞めてしまう新卒

こういう勘違いの解消は、新卒側の柔軟性にかかってしまいます。思っていたのと違う状況でも、なんとか頑張ってみようと思う子もいれば、時間を無駄にしたくないからさっさと辞めてしまおうと思う子もいます。
別にどちらがよいということではないですが、企業にとっては採用は投資であり、すぐに辞められてしまってはコストが合わないはずです。
採用担当は、採用人数がKPIになっていることが多く、入社後の新卒の離職率に責任を持っている場合はほとんどありません。この点が良くないです。採用と育成のセクショナリズムがこうした問題を生み出してしまうわけです。
学生の皆さん、会社選びは慎重に。わたしのおすすめは、Openworkを使って実際の社員からの評価を見ることです。