【2020年】シンクタンクとコンサルの違い【決定版】

以前、こちらの記事でも少し触れましたが、今日はコンサルとシンクタンクの違いを徹底的に分解していきたいと思います。

コンサル志望者にとっては、シンクタンクの業務内容がいまいち分かりづらいと思いますので、シンクタンクの仕事内容から説明していきます。

まず、シンクタンクの仕事は、大きく二つに分かれています。

まず1つ目は、シンクタンクの主要な部分であり、一般的なシンクタンクのイメージ通り「中央省庁(日本政府)の調査案件系」です。

次に2つ目は、総合系コンサルと同じように、民間企業などを対象にした「業務系・テクノロジ系コンサルティング」です。

シンクタンク各社によって異なりますが、上記2つは、基本的には別の部署によって行われています。もちろんコラボすることもありますが、基本的には部署もキャリアも仕事も別モノとして理解しておいたほうがいいでしょう。

そして今日は、シンクタンクの内容を説明するにあたり、1つ目の「中央省庁の調査案件系」にフォーカスします。2つ目の仕事は総合系コンサルとの違いは特にありませんので、この記事では割愛します。

中央省庁の調査案件系の仕事内容

「中央省庁の調査案件系」とは、中央省庁から毎年数多く発注されている調査案件の委託業務を行う仕事です。

具体的にどのような内容かというと、中央省庁の下記のようなページ(経産省の委託調査報告書がたくさん掲載されたページです)を見れば、NRI(野村総合研究所)やMRI(三菱総合研究所)といった大手シンクタンクが作成した調査報告書を見ることができますので、イメージが湧くと思います。

https://www.meti.go.jp/topic/data/e90622aj.html

中央省庁は、毎年、省庁(もっと言えば課)ごとに政策立案に向けた各種調査を行っており、その作業を民間企業(シンクタンク含む)に委託しています。

これらの調査では、政策(たとえば、厚労省では社会福祉、経産省では補助金といったもの)を毎年ブラッシュアップするにあたっての情報収集、つまりは諸外国の取り組み事例を調査したり、日本国内にある企業や機関にヒアリング調査を行ったりということが行われます。

調査した内容については、大学の先生などの有識者を集めて、委員会と呼ばれる会議を行い、調査内容の妥当性や政策立案に向けての示唆を出してもらうということもよく行われます。シンクタンクはそれらの会議のファシリテーションから取りまとめまで行います。

これらの調査は、基本的に毎年1つのテーマの延長で進められます。というのも、日本政府の政策は、毎年、真新しいテーマばかりではありませんので、政策に関する調査も毎年大きく変わるというものではないからです。

もちろん、景況やトレンドに合わせながら、調査内容は毎年少しずつ変わっていきます。

コンサルとシンクタンクのキャリアの違い

コンサルは、商売をしていくビジネスマンとしてのキャリアを形成をしていきますが、シンクタンクは、研究職の延長でキャリアを形成すると言われています。

具体的には、コンサルでは民間企業などを相手にしながら色々な業界やソリューションを若いうちから多様に経験するというキャリアが一般的です。キャリアの最終形としては、民間の事業会社にわたって経営を担っていくという人も多いです。詳しくは、こちらの記事に書いています。

一方で、シンクタンクでは1つの専門性をしっかり身に着けて、ある省庁のある課にしっかりと刺さりながら、1つのテーマ(たとえば、労働政策やエネルギー政策といった単位)の専門家になっていきます。その政策の専門家としてのキャリアを進んでいきますので、キャリアの最終形としては、大学の教授になったり、どこかの研究機関でマネジメントをすることになるかと思います。

コンサルとシンクタンクのスキルの違い

コンサルの仕事というのは、仮説検証に基づく戦略立案や業務・システム構想、その後の実行支援を行っていくことがメインとなります。ゆえに、スキルとしては、仮説検証に基づく戦略立案、業務改善、要件定義、ステークホルダー調整といったものが求められます。

一方で、シンクタンクの仕事というのは、相手が中央省庁(中央省庁は民間のように実業はなく、仕事は主に政策立案)となるため、スキルとしては、政策立案のための調査力、政策領域への専門性が求められます。

シンクタンクでは、コンサルのように仮説に基づく戦略立案や業務改善、実行支援のスキルは身につかないものの、若いうちからリサーチャーとして鍛えられることもあって、政策立案のための調査力はコンサルよりも圧倒的に強くなります。若いうちはリーダークラスの調査員から指示を受けて、多い時には複数のテーマの調査を並行で行うこともあります。

シンクタンクの調査スキルは、総合系コンサルと比べるより、戦略コンサルと比べたほうが分かりやすいでしょう。戦略コンサルの仕事は、戦略策定、オペレーション改善、DDの3つに大別できますが、特に戦略策定ではリサーチが多く行われるからです。ただし、調査スキルは、シンクタンクにとっては主たる必要スキルではありますが、戦略コンサルにとっては必要なスキルのうちの1つとなります。

その戦略コンサルの調査と比べた場合、まず特徴的なのは、シンクタンクの調査内容は非常に細かい傾向にあるということです。戦略コンサルであれば、仮説を証明するための必要最低限の調査を終えたら次の調査に進んでしまうようなところでも、もう一つ詳細なデータ収集を行います。(そもそも、省庁からの委託調査は、詳細なデータが好まれるという性質があります)

なお、シンクタンクが行う政策立案に向けた調査というのは、基本的に最初からある程度テーマが絞られています。したがって、戦略コンサルが行うような短期間で答えを出さなければならない調査とは少し様相が異なります

具体的にいうと、戦略コンサルでは、たとえば「海外市場開拓」といった漠然とした顧客からのテーマに対して、どのような製品をどのような消費者を対象にどのようなマーケティングやアライアンスで行っていくかということを、仮説設計とストーリー作りを行いながら、答えのない問いに答えを出していきます。

一方、シンクタンクでは「社会福祉における○○の調査」というように最初からある程度テーマが絞られている状況で、日本においてどのような課題があるのかを調査したり、他国ではどのような打ち手を行っているかを調査します。その趣は、戦略コンサルのように答えを出しにいくというよりも、事実を把握しにいくという色合いが強いです。

加えて、戦略コンサルは色々な業種やソリューションを経験しますので、プロジェクトに入って初めてこの業界のこのテーマのキャッチアップを行う必要があるということはザラですが、シンクタンクはその道の専門家ですから、より深い調査が行えるという違いもあります。戦略コンサルで行う調査のほうが、個人単位で見ればストレッチが必要かもしれません。

コンサルとシンクタンクの年収の違い

ざっくりですが、以下のような感じです。

戦略コンサル>総合コンサル>シンクタンク

これはクライアントへ提示する単価でも分かります。

まとめ

このように、シンクタンクと総合系コンサル・戦略系コンサルとは、仕事内容、キャリア、スキル、年収など様々な違いがあります。

民間企業などの色々な業界の戦略や実行支援をやりたいということであればコンサル中央省庁の政策にかかわって福祉等の社会課題を解決したいということであればシンクタンクといったところでしょうか。

どちらがよいということではありませんので、この記事を見ている皆さんの中で、シンクタンクに入るか、コンサルに入るか迷っている方がいれば、参考になればうれしいです。